築地にあった「ジャパン指圧センター」での思い出です。
指圧学校卒業したてで勤め始めたころ、同僚の中に当時70代の先生がいました。
確か九州工業大学卒のがっしりした体格ながら京都出身の穏やかな先生を、私は親しみを込めて「爺爺(イエイエ)」(中国語でおじいちゃん)と呼んでいました。
雑談をしていたある時、この爺爺に質問しました。
「関東大震災の時、爺爺はどこにいたんですか?」
「いえ、私はおりませんでした」
「(東京じゃなかったのか・・)じゃあどこにいたんですか?京都とか?」
「いえ、おりませんでした」
何度か聞いてやっと分かったのが、まだ生まれていなかった、ということで大笑い。
この時は主人も同僚としてその場にいたので、
「あれは思いがけない返事やったねえ(笑)」と後々まで残る思い出話となりました。
私のような若輩者にも丁寧な言葉づかいで話し、会社にお菓子をたくさん持って来て、いつでも快く施術して下さいました。
お正月に私が着物で出勤すると「いいですなあ、いいですなあ~!」と、手を打って喜び、本当のおじいちゃんのようでした。
大そう可愛がっていただいたのに、お礼など何もしないまま亡くなられてしまったことなど時々思い出しては、つくづく一期一会の大切さを感じます。