ほんなら

生前の父には帰省のたび、説教や愚痴を聞かされた。
「そこへ直れ」嫌な話が始まりそうになると私は提案。
「折角だからちょっと指圧もしようか?」
「ん?ほんなら(それでは)やってもらおうか」
横向きで早ければ頭を指圧し始めたら寝息が聞こえる時もあった。
ちょろい・・いや助かる、指圧を学んで良かったと胸を撫でおろす。
今は全てが思い出、昔は苦手だった亡き父が懐かしい。
ブラッシング所望のお福が背を向けるたび父の姿が重なる。