私はかつて、ぎっくり腰になったことがある。
そばにいた同級生に「良かったね、腰痛の人の気持ちが理解できるじゃん」と言われた。
人が苦しんでるのに、よくもそんなことが言えるなと腹立たしく思ったものだが、今となってはその通りだったと思う。
おかげさまで、ぎっくり腰の経験が指圧業界で仕事をする上でかなり役に立っている。
痛い目に合わないとその辛さを本当に理解するのは難しい。
指圧師として、人として、あらゆる方々の辛さを理解できるようになりたい。
かといって片っ端から難病になるわけにもいかない。
大変そうなことといえば、子育てや介護の辛さを私は知らない。
だが長男長女の私たち夫婦は今後、親の介護を高確率で味わう予定だ。
これは未知のことゆえに正直言って恐ろしい。
介護のトラブルで殺人事件だって起きているのだから、さぞや心身ともにキツイだろう。
実際に多くの人々が人知れず、時には子育てや仕事をしながら介護をしている。
私たちはきっといつか来るであろうその時を逃げることなく、「良かったね、介護する人の気持ちが理解できるじゃん」と自分たちで言えるといいのだが。
そんな甘っちょろい理想が即吹っ飛ぶような厳しい現実が待っている、と覚悟して自分の心身を鍛えた方が良さそうだ。