うぶけやさん

昨年12月、テレビ番組で人形町にある老舗の刃物屋さん「うぶけや」の取材をしていました。
老舗とかこだわりの道具ってとても好きなんです。
刃物を特に探していたわけではないけれど、そういうモノに触れてみたいと思いました。
「一度行ってみたい」と言ったら、主人が即、日程を決めてくれました。
しかし、やはりというか、見るだけでは済まないのが私です。あれこれ触らせてもらって、蘊蓄(うんちく、こんな漢字なんですね)を聞いているうちに、欲しくなってしまいました。
ハサミと爪用のヤスリ、それとうちの包丁も。
衝動買いも甚だしいけど、必ず使うものだから無駄にはならないだろう、と自分で必死に不安を打ち消します。
まず包丁は、今までのより少し重くて幅広のものを選びました。もちろん、よく切れます。
以前のも築地の包丁専門店で買ったものなので、実のところ大きな違いは分かりません。
包丁はお湯で洗ったあとに濡らしたままにせず、きちんと拭いて仕舞うことと、定期的にに研ぐことが大切だそうです。
爪ヤスリは私達の職業上、必要なものです。安物は貼り付けてあるヤスリが削れてすぐダメになるので、このステンレス製のヤスリを手に入れて、ひと安心です。
そして最も衝動買いだったのがハサミです。
見た目に懐かしい、昔ながらのハサミ。これを使用した時の「シャキーン」という音が何ともいえず気持ちいいんです。
ただ、何も切らずに空で「シャキーン」と鳴らすのは、やらない方がいいそうです。
細かくいえば、そのたびに刃が摩耗してキレが悪くなるとのこと。
「ひゃあ、どうしよう」と言いながら、どれかやめようかと悩んでいたら、主人がクリスマスプレゼントに三つとも買ってくれました。
少ないお小遣いなのに、申し訳ない。
どうして買ってくれるの?と聞くと「全て家内安全、平和のためです」と言われてしまいました。
それではありがたく、とお言葉に甘えさせていただきました。
ところで私って、そんなに怖いの?
ubukeya