かつて初めてアメリカをソロツーリングした時、私の英語はすさまじいものでした。
customer(顧客)と言うべきところをpassenger(乗客)と言い、How longとHow farをよく間違えて使っていました。右、左も毎回ご飯を食べるしぐさをしてからでないと言えなかった(茶碗を持つ方が右、の確認)という始末。
flyとfryも何度も間違えて笑われました。「君はハエ(fly)を食べるのか?」って。(笑)
ある時、旅の途中でオートバイのエンジンオイルの交換が必要になりました。工賃を節約したいのでオイルを買って自分でやりたいけどやったことがない。できればやり方を教えてもらいたいし工具や道具を貸してもらえないか?など、今思えばかなりのムチャ振りを、初めてのバイク屋さんでつたない英語でごちゃごちゃ話しかけました。すると見かねたオーナーさんがこう切り出しました。
「OK,あなたの希望は何?」
「エンジンオイル交換!」
「なるほど。オイルはここにあるけど、俺がやる?あなたがやる?」
「私」
「よろしい。では工賃は不要だ。ところで手伝って欲しい?」
「はい、お願いします!!」
そしてこの方はあろうことか、私に説明をしながらお手本を見せてくれました。
古いエンジンオイルを抜くために必要なこと、注意事項、そしてボルトを絞める時も私に工具を渡し、「最後の最後は自分の力で絞めておかないと、次回自分で開けられなくなるからね」と言いました。
もはやマンツーマンの勉強会に近い扱いをしていただき、工賃どころか謝礼をするべきなほどのありがたい状況でした。(このご恩、忘れるべからず)
その後、旅のおかげで一時はもう少しマシな英語をしゃべっていましたが、それも今は記憶の彼方、どんどん単語を忘れて趣味の道案内の時には雑談に苦労しています。
かといって、道案内のために英語を勉強するのもなあ~と二の足を踏んでいるところです。