社会人になって初めての私の職業は銀行員でした。
最初は貸付係、次に出納係、そして出納元方となりました。
貸付係ではお客様にお金を貸すための稟議書(りんぎしょ)を書いていました。
その中で報告したある美容師さんについての忘れられないお話があります。
お金を借りて下さった当初は順調に返済できたのですが、パーマ液か何かが皮膚に合わないことで仕事ができなくなり、返済が滞るようになりました。
返済請求のため何度かご自宅を訪れるうちに居留守を使われるようになり、最後は一家で夜逃げしておられました。
この顛末が当時の私には非常に辛く、銀行の営業室でポタポタ涙を流しながら書類を清書したことをよく覚えています。
「私は絶対にお金を借りずに生きていこう」
恐怖体験と言ってもいいほどに芯から決意したのでした。
今はもう少し柔軟に受け止めることができそうですが、借金が怖いという気持ちに変わりはないです。