夕べ「和風総本家」というテレビ番組を見ました。私はその中で「海外で評判のメイドインジャパンを探す」という企画が気に入っています。いくつか紹介されたうち、イタリアでバイオリン「ストラディバリウス」の修理を手掛けるイタリア人の職人さんと、その愛用品の小型ノコギリを作る新潟の職人さんの組み合わせに感動しました。
イタリアの職人さんは「日本で見つけたこの素晴らしいノコギリのおかげで良い仕事ができる。職人に会ってみたい」と言い、ノコギリ職人さんは「外国で自分の製品を使って凄い仕事が成されている」と喜んでおられました。
さらに取材は続き、この日本人の職人さんによる手作業でのノコギリを作る工程を、ビデオでイタリアの職人さんに見せます。
熱しては冷やす焼き入れの様子、素人目には何も違いの分からない細やかな調整など。「凄いな、暑いだろうに」それはそれは興味津々、子供のように目を輝かせて見ています。
昔はノコギリ職人が多かった新潟のこの地域も、安い使い捨て量産品の登場で手作りノコギリはピンチになり、同業者が廃業していきました。売れない苦労を重ねたのち、顧客はそれまでの大工さんだけではないことに気づかれたようです。
ある時、人形作りをする方からのリクエストがあり、小型の精巧なノコギリ作りに活路を見出した職人さんでした。
イタリアの職人さんたちが尊敬と感謝の言葉を述べるのを聞きながら、静かに涙を流すノコギリ職人さん。ご家族からも誇らしい表情や喜びの言葉が出てきて、ただ黙って本当に嬉しそうに微笑んでいました。
一流の職人どうしの賞賛、一流ならではのこだわりを理解し合える存在。
それを見ている自分も褒められているくらい嬉しくなった番組でした。