名も知らぬ命の恩人

真夏のアメリカをオートバイで旅していた時のこと。
コロラドのボルダーからLAへの道中、ロッキー山脈を越えようとしていました。
ボルダーではTシャツにジーンズ、登坂中急に気温が下がり雪が降り始めました。
ロッキー山脈の標高や気候など無知な私は、少しの我慢と思いカッパで走行。
やがて雪が積もり、吹雪いてきました。
早く越えてしまおうと急いでいると、私を追い越したトラックがすぐ脇に停車。
その車の横を通り過ぎると、また追い越しては右に停車するではありませんか。
危ないなあと思っていると、更に追いつき話しかけてきました。
停車して聴くと、この先オートバイでは危険だから乗っていけという。
そのための追い越しだったのか!
そしてオートバイは荷台に、私は助手席に乗せてもらって山越え。
その時このマッチョなおじさんは、何の道具もなく腕の力だけで600ccのオートバイと荷物を荷台に持ち上げたのでした。
あのままだったらどうなっていたのか、今考えただけでも恐ろしい。
命の恩人、心優しいおじさんを感謝と共に思い出します。