無謀ソロツーリング31-1992年

雨が続いたデイブ宅では結果的に短いホームステイ。
自宅を手作りしている知人宅に行ったり4輪バギーで森を走ったり。
だがある時、ライフルに興味津々の私に扱い方を教えるうち、デイブは誤って自宅の窓ガラスを打ち抜いた。
シット!と口の形で分かるが「キーン!」という耳鳴りがしばらく続いた。
LAから日本に帰国するのは7月末、逆算するとそろそろ出発しなくてはならない。
「バイクを出しておくからパッキング出来たら下りておいで」
また一人になるのだ、ノロノロと階段を降り、ドアを開けるとデイブが立っていた。
私のバイクの前に両手を広げて待っていた、いつもの笑顔で。
ドッと涙が出てハグ。
アラスカに来てから泣いてばかり。
「I have to go」を呪文のように唱えながら帰路に着いた。