3、いよいよその時が

毎朝ドアを開けると外猫のエミは正座して待っていました。
築地のアパートでは隣室のおばあちゃんも「エサをあげているのに触らせてくれない」と不満気。
そう、野良猫はとても警戒心が強いので我々も長く触らせてもらえませんでした。
いつだったか二人で伊勢神宮の旅行から帰宅するとそのおばあちゃんが、
「あの猫、あなたたちの部屋を自分の家と決めているみたい。留守中ずっとドアの前で待っていたわよ」と言いました。
その言葉でちょっと責任を感じ始めたのをよく覚えています。
やがて私たちは網戸越しからだんだん直接触らせてもらえるようになりました。
その時のお隣のおばあちゃんの羨ましがることといったら、何だか申し訳なくなるほどです。
ある時初めて主人の膝にエミが乗りました。
主人はよほど嬉しかったらしく携帯で自撮りした写真を私に送って一時間、ずっとそのまま玄関で固まっていたそうです。(笑)
(つづく)