指圧をしていると「北風と太陽」のお話をよく思い出します。
どちらが旅人のはおっているコートを脱がすことができるか、北風と太陽が勝負します。
まず北風がびゅんびゅん強い風で旅人のコートをはがしにかかりますが、旅人は飛ばされないようにしっかりと身を固めるのでコートを脱がすことはできません。
次に太陽は暖かな日差しで旅人をつつんだため、力ずくでなくとも旅人は自らコートを脱いで太陽が勝った、というお話だったと記憶しています。
指圧はグイグイ強く圧すもの、と思っていらっしゃる方もありますが、強すぎると(あるいは受け手がそう感じると)筋肉が緊張してゆるみづらいことがあります。(症状により痛いのを我慢していただくという例外はあります)
一般的に、適度な圧加減で圧していると、受けている方が気持ち良く感じて凝っている部分が勝手にゆるんできます。その感触は、氷を握っていると体温でじわじわ溶けてゆく感じに似ていると私は思います。指圧学校で初めてそれを実感した時には感動しました。
そこまでわかっていてもつい、あるいはいつの間にか、力で圧してしまっている時があり、適度な圧加減に戻すようにします。
この適度な圧加減、それは人によって感じ方も違いますし、同じ人でも部位によって違ったりします。
そこが難しくて面白くて、私が指圧を飽きずに好きでいられるところかもしれません。
「北風と太陽、北風と太陽」
いつでも太陽のように優しい、あたたかな指圧を心がけていたいと思います。