初めてお福と会ったのは三年前の春、戸越銀座のとある喫茶店。
小さなバッグからまさに「取り出された」お福は片手でつかめる位の大きさで、小さく鳴いていました。
まだ乳飲み子なので、普通の餌を食べることができるようになったら引き渡していただく、と決まりました。
以前から、「エミはずっとひとりぼっちでお留守番、でいいのだろうか?」という気持ちがあったので、お話をいただいた時にこれもご縁だ!と思いましたが、
正直なところ、エミを大変可愛がっていた私は、お福を同じように可愛がることができるのだろうか?という不安がありました。
出会った当時の野良猫エミは推定5~6か月、三毛で耳が大きくて金色と緑色の混じったきれいな目の美人猫。
最初は餌は食べに来るのに決して撫でさせてくれなかったのですが、数か月経て自ら膝に乗ってくるようになった歴史があります。
お福は白黒で八分け(ちょっと妖怪ウオッチ風?)、目は茶色、鼻くそがのぞいているようなワンポイント。
エミの方が美人だなあ、と思ってしまいました。(これを親バカといいます、ごめんなさい)
子猫はかわいいというけど、育てた経験が全くないだけに、その小ささが逆に不安でした。
私たちとは何ら付き合いもなく、先住猫エミのいる我が家で果たしてうまくやって行けるのでしょうか?
もしエミが致命傷でも負わせてしまったらどうしよう?
「もしエミちゃんと相性が合わなかったら、返していただいて結構ですから」
お世話をして下さっているMさんのその言葉で、ずいぶん気持ちが楽になりました。
それから3か月後、我が家にお福がやってきました。
ワクワク、というよりも責任感のプレッシャーで不安いっぱいだったことを良く覚えています。
エミとお福は初日は緊張状態もありましたが、だんだん打ち解けて行きました。
そして私の「お福をエミのように可愛がることができるか?」という不安もいつのまにかなくなっていたのです。
むしろ意識してエミにも声をかけ、撫でるようにしないといけないようになりました。
なぜならば、お福はそのころから現在にいたるまで、私にベッタリ、どの部屋へ行こうともくっついてくるからです。
その自らの努力により、お福は可愛がられる地位を極めたのかもしれません。
ちなみに、成長と共にお福の目の色は美しい金色に変わりました。
今は二匹の体の大きさもさほど変わらず、ケンカしたり、毛づくろいしあったりが当たり前の家族。
ほんの3年前のことがずっと昔のことのように思えます。
いつまで一緒にいられるか、人も猫も先のことは分かりませんが、今、今、今を楽しんで生きようと思います。