15年程前、独身だった主人の古アパートへ。
まず、台所に食べ終わった持ち帰り弁当袋の山。
その右手には洗面台、洋式便器、洗濯機、カビの生えた浴槽が一段低くなったタイル張りの部屋に収まっていました。
奥の6畳間は雨戸のあるネジ式の鍵がついた木製窓が一つ、但し日中でも電灯を点けないと真っ暗な日当たりの悪い日本間。
いつも布団を敷いている範囲以外に足を踏み入れると埃が舞い上がり、
部屋の角は主人が立った姿勢で禅をするため畳がへこんでいました。
押し入れは布団と座布団一組を除くと床が抜けそうなほど分厚い本だらけ。
部屋の鴨居の高さにもぐるりと手作りの本棚で、所狭しと中医学書や辞典が。
私が一緒に住むとなって同じ木造家屋に住む大家さんにご挨拶すると、
「あなた、この方はおススメよ!戌年の男ってよく働くのよ~」
そう耳打ちしてくれました。(笑)
まず私が台所のゴミ袋の山を捨てただけで大家のおばあさんが絶賛。
心なごむ同棲生活の始まりでした。