私がお会いした女性のお話です。ご本人に了承を得て書いております。
その方が若い頃、仕事で知り合った既婚の男性上司から
あるとき呼び出されました。
机の上に印鑑と通帳があり、
「ここにあなたが一生、生活に困らないだけのお金が入っている。
これをやるから私の愛人になれ」
と、言われました。
彼女はそれらに触ることなく
「一人くらい、こういうお話を断る人間がいてもよいのではないでしょうか?」
と、胸を張ってお断りしたそうです。
(恐らく)メンツをつぶされ激怒した男性上司にこっぴどく怒られ、
彼女はわんわん泣きながら家に帰りました。
帰宅して母親に顛末を話したところ、
「お前は本当にバカだねえ、そんなにいい話を断ってしまうなんて!」
と、いわれてしまいました。(経済的に苦労されてたそうです)
しかし後年、大変優しい良い方と出会い結婚し地道に二人で努力され
それこそ一生使いきれないほどのお金持ちになりました。
「神様はちゃんと見てくれているのねえ・・きっとご褒美よ。
あの主人と出会わせてくれたのよ」
残念ながらご主人には先立たれてしまいましたが、
仏壇を愛おしそうに見て話されます。
「あの通帳、幾ら入っていたのかしら?見たかったわ~」
いたずらっ子のような笑顔がかわいらしい方です。