忘れないこと



指圧師デビューは築地のジャパン指圧センターだった。
佐々木久雄院長の指導のもと、毎日四苦八苦。
ある時、担当した方が私の指圧を絶賛して帰ってくれた。
ホッとしたのもつかの間、院長が言った。
「あの人、今まで余程ヘタクソな指圧しか受けてなかったんだな」
それは院長の心からの正直な思い。
私の指圧は決して褒めてもらえなかった。
今思えば、自分が天狗にならなかったのは院長のお陰。
指圧師として何とか生きていることに感謝している、本当に。