岡山の大学に行くため初めて親元を離れ友人と二人暮らしをしました。二人とも家事、特に料理はてんでだめだった記憶があります。「炊飯器で炊いたご飯に芯があるんだけどどうしたらいい?」と電話したら母に「どうやったらそんなことができるのか教えてほしいわ」と呆れられ、対策法を教えてもらえませんでした。また、年寄りがいた実家では一度も食べたことのない憧れの厚切りトーストにバターを乗せ、それだけを毎朝一人一斤ずつ食べ、幸せを感じました。しかし他の料理が作れず、冷凍のミックスベジタブルとベーコンで焼き飯ばかり作り、味付けを醤油、ソース、塩コショウ、ケチャップと変えていただけの思い出があります。大家さんがお好み焼き屋さんだったので、見よう見まねでお好み焼きは作れるようになりました。
ある夜、具合が悪くなって病院に行くと「栄養失調」と言われました。それもそのはず、ケチって一週間でお好み焼き一枚しか食べずにガソリンスタンドで朝六時からバイトしていたのですから。
その後、最も食生活に影響を与えたのは飲食店でのアルバイトでした。必ず食事が付くので定食屋、喫茶店、コーヒー専門店などのバイトが好きになりましたが、自分で作りたいとはまだ思いませんでした。三年生くらいからは作り置きできるのでカレー、シチュー、ハヤシライスばかりの頃もあり、卒業するころには三日煮込んだカレーを友人と食べて満足していました。
今思えば目を覆いたくなるほどひどい・・・バランスも栄養も何も考えていないひどい食生活でした。