長女猫のエミとは築地の古アパートで出会いました。
当時まだ子猫で隣家と境界の金網をすり抜けてこちらに入って来ます。
面白がって猫缶を与えていたら、そうしているのはウチだけではないらしく近所の家々で違う名で呼ばれていました。
これを主人は「エミは営業してる」と表現し、私を笑わせました。
夏の終わり朝夕涼しくなってくるとエミは部屋の中へ入れてくれと言い始めます。
「ダメダメ、ノミだらけなんだから」
エアコンがなく開けっ放しの玄関にはいつも蚊よけネットの引き戸をしていました。
これにエミが毎日体当たりでスリスリするので、ネットが伸びてレールから外れ下からエミの頭が入れるくらい緩くなっていました。
ある夜、定位置にエミがいないと思いながら食器を洗おうとした私、目の端に何かをとらえて振り向くとウチの冷蔵庫の後ろにエミが鎮座しているのを発見!
「きゃ~!エミがここにいる!」「ええっ?」
我々の声に驚いたエミは走って逃げて行きました。(つづく)