以前、「地雷を踏んだらサヨウナラ」という映画を観たことがあります。
確か、カンボジアで行方不明になった一ノ瀬泰三さんというフォトグラファーを題材にした作品でした。
その上映の少し後、私はバックパッカーとしてタイから陸路でカンボジアに旅行しました。
当時この陸路とは、土煙の舞うガタガタ道を猛スピードのピックアップトラックで何時間も走るというもの。
椎名誠さんの言葉の「洗濯機の中にいるような」という表現がピッタリのヘビーな旅でした。
乗り合いのシートは二種類あって、アウトサイド(荷台=安い)とインサイド(座席=荷台よりちょっと高い)で私はインサイドを選びました。
これで往復したのですが、往路ではパンクしたり車軸が曲がって立ち往生。
復路では走行中デコボコの衝撃で荷台の客が一回転して落ちるのを見ました。
荷台の他の客が車のボディをバンバン叩いて知らせたのでトラックは止まり、全員が固唾をのんで見守る中ゆっくり起き上がった男性に胸をなでおろしたものでした。
カンボジアではアンコールワット以外にもバンテアイスレイなど遠くの遺跡を地元のバイク兄ちゃんに乗せてもらって観光。
ホテルから現地まで、行きに比べると帰りが30分も早かったので理由を尋ねると、
「遅くなったから早道を通った」と言います。
なぜ行きにも早道を使わなかったのか?と尋ねると、
「早道はまだ地雷の撤去が済んでないから」との言葉に仰天。
危うく自分がサヨウナラする可能性もあったと知り、背筋が寒くなった真夏の出来事でした。