幼いころから親が厳しかった(と私は思っていました)ため、
私は早くから家を出たいと思っていました。
戦争で自分の父親を早くに亡くした父は母親の手一つで育てられ、
弟たちの面倒を見ながら家計も支え、若いころから経済的にも相当苦労したようです。
ありがちなことですが、娘である私を大切に思うあまり父は何かと束縛し、
気に入らないと手をあげることも少なくありませんでした。
私はこのまま家にいたら自分が自分でなくなってしまう気がして、一刻も早く自由になりたかったのです。
今思えば、苦労知らずのわがまま娘だったのですが。
そんな私も一人暮らしや仕事や恋愛の失敗など色々やらかし、
年も取ってだんだん他人を理解することを勉強しました。
もちろん、まだまだ知らないことだらけで未熟者なのですが、
父のことをなんと、いとおしいと思うようになりました。
父がどんなに文句言おうと、無茶振りしようと、できるだけさえぎらずに聞こうと思えるのです。
この世は何があるかわからないので、どちらが先に死んでしまうかわかりませんが、
そう長く一緒に過ごすこともないと気づきました。
実家が遠いので会える回数なんて知れたものです。
限られた時間を思うと、昔イヤでたまらなかった出来事への恨みはなくなってしまいました。
離れているからかもしれませんが(笑)、今は父にも母にもいとおしさと感謝だけです。
帰省した時は、食事は母に甘え、交通費は父に甘え、
私は実家の掃除と墓参、そして指圧をするようにしています。
あと何回、墓石になる前に指圧できるのでしょうか?
次に会えるのが本当に楽しみです。
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