今朝は雨のせいか、ふとカナダでお世話になったご夫妻のことを思い出しました。
私が北米大陸をソロツーリングしていた時、アメリカ本土からカナダを通りアラスカ州に向かっていた時がありました。
その道をアラスカンハイウエイといいます。
第二次世界大戦の時、アリューシャン諸島を経由して日本がアラスカに攻めてくるのを撃退するために大急ぎで作られた道路だ、と聞きました。
私がツーリングしていた当時、このアラスカンハイウエイは工事もあってけっこうな悪路、ロードバイクではなかなか厳しい毎日。
しかも素晴らしく雨が多く、大きな蚊の大群がいて、蒸し暑かったり寒かったりで修業のよう。
キャンプしながらオートバイで走る上では、決して良いコンディションではありませんでした。
そのせいか、ほとんど他のオートバイもいなくて寂しい日々、トータル6か月半の旅の中で最も辛かった時かもしれません。
そんな時、トラック運転手のピーターさんと出会い、アラスカの帰りにはエドモントンの自宅に寄るよう励まされました。
アラスカ自体も雨が多く天候は変わりませんでしたが、カナダから国境を越えてアメリカ領に入ったとたんに道が舗装されて走りやすかったことにはビックリ。
さて、ここでも色々な出会いがありましたが、どんなに楽しくてもまたロサンゼルスに帰らなくてはなりません。
後ろ髪をひかれながらアラスカを後にしましたが、あのアラスカンハイウエイをもう一度通らなくてはならないということはうんざりでした。
しかし「ピーターさんたちとまた会える」ということが楽しみで、意外にも往路よりはラクに感じました。
エドモントンでは奥様のヴァージニアさんと共に出迎えてくれたピーターさんは、自宅で手作りの食事やバスタブ付きのお風呂などでねぎらってくれ、暖かい部屋で宿泊もさせて下さいました。
毎日キャンプ場で寝泊りしていた私はシャワーばかり(下手をすると川で水浴び)の日々、このバスタブに浸った時のことは今でも忘れられません。
その後、私は無事帰国してしばらくは文通していましたが、やがて音信不通になってしまいました。
ピーターさんが交通事故に会って大変な大けがをした、引っ越したということだけを覚えています。
今はどこでどうしていらっしゃることでしょう。
旅をしていると、こんな甘酸っぱい出会いがたくさんあります。
彼らに恩返しをすることはできませんが、感謝を忘れず出会う方一人一人を大切にしようと思っています。