帰省中は毎食母の手料理を食べた。
適当よ、と言いつつ心のこもったメニューばかり。
もっと豪華、もっと贅沢、もっと美しいものはいくらでもある。
しかし、寒い中家族のために自転車で出掛けて吟味した材料を買い求め、年老いて震えの止まらない手で作る料理には感謝しかない。
冷たい水で洗い物をしながら、母には一生敵わないと思い知る。
お腹いっぱい無償の愛を味わい、この幸せを自分の家族に向けたいと思う。
腕はないけどもうちょっとマシな食事を作ろう。
エミとお福を安心させよう。
東京に向かう新幹線はリフレッシュしたご同輩で満席だ。