20代の後半、アメリカへバイクツーリングに行った。
「口先ばかりの奴だらけだ。本当に行きたければ黙って行くもんだ」
某雑誌関係者にあおられ、仕事を辞めて旅支度。
バイト先の客Rさんは同郷で6歳年上、よく食事をご馳走してくれた。
LAでオートバイを買い3か月一人でキャンプしながら北米大陸を旅することを伝えると、とても心配した。
焼き鳥屋で食事中、テーブルの下から包を一つ手渡された。
なんと中身は札束!もう忘れたが100万円以上はあったと思う。
念のため言っておくとRさんはパトロンでもボーイフレンドでもない。
ビックリして要らない!と言うと、念のため持っておけとどうしても引かない。
そもそもそんな大金を現金で持ち歩くなんて不可能、お気持ちだけ有難く受け取って札束はアパートに置き、帰国時にそっくりお返しした。
沢山の方々に心配をかけ、餞別を頂きながら大してお返しをしなかった。
若気の至り、そういうかつての自分のような人をハラハラ見守る歳になった。
札束を渡す真似だけはできない。(笑)