昔、現実逃避の旅をしていたことがありました。
一人オートバイでアメリカをツーリングしていたのですが、楽しい時もあれば怖くて帰りたい時もありました。
毎夜テントの中にぶら下げた懐中電灯のもと、日記を綴るのが何よりの楽しみ。
昼間感じたこと、発見したネタを覚えきれないことから、二度目の渡米からはミニカセットテープレコーダーを胸ポケットに入れていました。
「あ、私、生きてた!」
朝、目が覚めるとテントの中でまずそう思っていたことをよく覚えています。
寝る前に書く日記を、「これが絶筆になるかもしれない」というつもりで書いていたので、目が覚めることを当たり前とは思っていませんでした。
ロサンゼルスでは銃声、アラスカではクマ、プリンスエドワード島ではハリケーン。
今、朝起きて生きていることを実感する日はないです。
本当はいつでも死と隣り合わせなのに忘れているんですね。
あの頃の気持ちを今一度思い出しています。